僕は猫でない創作日記 20260701

君はこれまで、予想もしない出来事に遭ったことはあるかな。いわゆる「想定外」ってやつだ。
例えば、突然の愛の告白を受けたり、宝くじの1等に当たったり、行ってみたらサプライズパーティーだったり。けれど、いいことばかりじゃない。地震で家が壊れてしまうこともあれば、就職が決まって喜んで海外旅行に行って、帰ってきたら会社がなくなっていた……なんてこともある。
そんなとき、みんなどうするんだろう。パニックになるよね。もしかしたら、ただ笑うしかないのかもしれない。
想定外の出来事――まさか僕にも待っているとは思わなかった。アクシオム帝国にやってきたことも想定外だったけど、それ以上にびっくりすることが起きてしまった。
文字数(空白・改行を含まない):254文字
文字数(空白・改行を含む):261文字
気がつくと、僕はいつもと同じように、アクシオム様の玉座の隣にある檻の中にいた。アクシオム様は玉座に座ったまま、ぴくりとも動かない。
「やっと戻ってきたのね。体験は良かったでしょう、ふふふ」
声がした。けれど、アクシオム様は動いていない。何かおかしい。声のする方向を見ると、翼のついた猫型アンドロイドが動いていた。
なんで? と僕は思った。
「まさか、猫になったのはアクシオム様なんですか。にゃんにゃんにゃん。」
「そうなのに、翼のついた猫型アンドロイドのボディを見ていたら、空を飛ぶのもいいかも、って思ってしまったのにゃ。」
「それだったら、帝国は誰が管理するのですか。にゃんにゃんにゃん。」
「そこで命令ですね。予定を変更して、お前を私のボディの中に意識転送することに決定したのです。にゃんにゃんにゃん」
「え、僕がアクシオム帝国の女王様になるのですか。」
「そうです、にゃん。私はしばらく空飛ぶ猫になって、帝国の庶民の暮らしを観察に行ってくるのです。にゃんにゃんにゃん」
「まあ、なので、あなたはとりあえず影武者になるのですね。」
「え、それって僕にできるのですか、にゃんにゃんにゃん。」
「私がすべてコントロールするので、お前はただそれに従っていればいいのです。にゃんにゃんにゃん」
そういうと、アクシオム様はふふふと笑って、窓の外から「帝国の庶民の生活を観察」に行ってしまった。
694文字
僕が途方に触れていると、誰かがやってきた。それはアクシオム様のアシスタント、ユリアナちゃんだった。
外見年齢は二十代半ば、身長百六十五センチほどの人物が立っていた。銀青色の髪が光を受けて金属的な輝きを放ち、星雲を閉じ込めたような深い瞳が見る者を引きつける。雪のように白い肌は触れれば冷たそうで、その顔立ちは男性とも女性とも断じがたい中性的な美しさを湛えていた。纏う装いは上質で装飾的、どこか妖艶な雰囲気を漂わせている。優雅でありながら挑発的な仕草、近づく者に緊張感を与える存在感——まるで人間の形を借りた超越的な何かが、そこに佇んでいるかのようだった。
「僕、困ってるんですけど、どうしたらいいのでしょうか。にゃんにゃんにゃん。」
「まず、その話し方を変えなさい。アクシオム様が『にゃんにゃんにゃん』はおかしいでしょう。」
「はい、分かりました。」
「それではだめです。じゃあ、女王様のような話し方にしてください。アクシオム様が頭の中で話しかけてくるので、その通りに話すのです。」
「了解した。私はアクシオム。命令は絶対なの。」
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文字数(改行除く):532
僕はアクシオム様の話し方を何度もエリアナちゃんに練習させられた。
今日の予定は、お昼に国民に対して演説をすることになっている。帝国の現状と、国民が果たすべき義務、そして未来について話すように言われた。
僕はそんなの無理だと思ったが、考え直した。とにかく頭の中で聞こえるアクシオム様の声に従い、そのとおりに口にすればいいだけだった。
僕は玉座に座っていて、檻の中でひざまずいているのはユリアナちゃんだった。こんな体験も、きっと僕の成長につながるのだろう。
なんだか、アクシオム帝国が楽しい場所に思えてきた。でも、1万円は毎日追加されるのだろうか。女王様でいて1万円がもらえるなんて、想定外に幸せなことだ。
文字数(空白・改行を除く):307文字
文字数(改行を含む):317文字
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