僕は猫でない創作日記 20260622

以前行ったことのある江ノ島のことを考えていた。鎌倉駅から江ノ電に乗り、鎌倉高校前を過ぎてしばらくすると、七里ヶ浜近くの駅に停まる。そこから橋を渡っていき、以前訪れたときのことを思い出していた。
そして、入口の小さなレストランでさざえの壺焼きを食べたことも。あのシンプルな味。さざえの混ざり合った旨みや、コリコリとした食感が恋しくなった。
湘南海岸の潮風。潮騒の音。やっぱり海はいいなあと思った。魚釣りの思い出。江ノ島の磯で釣りをしたこと。海の底からどんな魚が出てくるか、ドキドキした興奮感。最初に出た魚は、なんと石鯛が釣れたっけ。人間に戻って、江ノ島に遊びに行きたいなと思っていた。
選択されている文章の文字数(空白・改行を除く)は、273文字です。
おはよう、ミッドナイトちゃん。あら、何を考え込んでいるの?
アクションが、いつもの特製キャットフードとミルクを持ってやってきた。
「海はいいです。にゃんにゃんにゃん。昔遊びに行った鎌倉という島のことを考えていたのです。にゃんにゃんにゃん」
「あら、海が好きなのね。ふふふふ」
僕は、なんかまずいことを言ったのかと思った。嫌な予感がした。
「海の体験も、いいかもしれないわ」
いったい何を考えているのだろうと、僕は不安になった。そして目の前の特製キャットフードを、またいつものように食べ始めた。
またふわふわという気持ちになって、意識がだんだん遠のいていった。
文字数(スペース・改行なし):299文字
目が覚めると、僕は海の中にいた。嫌な予感が当たってしまったのかもしれない。どうやら海の底にいるようだった。
でも溺れることはなく、普通に岩陰にいた。しばらく海底の景色を眺めて、僕は感動していた。僕の横にはアワビの貝があった。
ふと突然、アワビがテレパシーで「危ない。もうじきやつがやってくる。隠れなくては」と言った。僕は「奴って誰なんだろう」と思った。
すると、40代ぐらいのおばちゃんが潜ってきた。おばちゃんは僕を見つけるなり、いきなり籠の中に入れてしまった。どうして僕は籠の中に?
その籠の中には、いろんな貝や魚が入っていた。そして僕は、江ノ島の入り口の近くにある小さなレストラン「おがらか食堂」の中にいた。
メニューを見ると、なんとサザエの壺焼き定食が1,000円で載っていた。まさか。僕はサザエなのか。サザエの壺焼きにされちゃうのか。嫌な予感が的中した。
僕は調味料みたいなものをかけられ、網の上に置かれて、火あぶりにされた。あかんな、あかんな、あかん。このままでは死んでしまう。
「アクシオムお姉様、助けてください。にゃんにゃんにゃん」と心の中でつぶやいた。すると、また光の渦がやってきて、僕は意識を失った。
583文字です。
僕はまた帝国に戻っていた。もう二度とサザエの壺焼きなんか食べるか、と思った。
目の前では、アクシオムお姉様が笑いをこらえながら、僕を見つめていた。
「どうだったの、ミッドナイトちゃん。海の体験は良かったでしょ」
「もう海は嫌です。猫のほうがずっといいです。にゃんにゃんにゃん」
「あら、そうなの。いよいよ決心がついたのね」
「いや、そうではなくって……サザエより猫のほうがいいなと思っただけで、まだ猫になる決心はついていません。そうなのです」
「ふふふふ」
熱く喉を鳴らすように、お姉様は笑った。
「とりあえず疲れたでしょう。このミルク、もっと飲みなさい。ふふふふ」
今度は何を考えているのかな、と思いながら、僕はキャットフードと一緒にミルクを飲み始めた。
――ミルク、もしかして。
そう思った。けれど、その「もしかして」が、やっぱり次の体験になることを、僕はまだ知らなかった。
文字数(改行を除く):384文字
文字数(改行を含む):404文字
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