僕は猫でない創作日記 20260702

みんな、たくさんの人の前で話すのって、大丈夫かな。初めてだったら、ドキドキするよね。

でもね、意外と話すことが決まっていれば、話し始めたら、あとは自然に任せれば大丈夫な時が多いよ。僕の場合は、頭の中でアクシオムお姉様のメッセージが聞こえているから、それを話せばいいだけだった。

大丈夫。心配ないから。きっとできる。

それに目の前には、動画を撮ってるカメラがたくさんあるだけで、あとはスクリーンにアクシオム帝国のいろんな国の人が僕を見ている画像が表示されるだけだ。ひとりごとを話していると思えば、きっと大丈夫だ。

それに、隣にはちゃんとゆりがなちゃんがいて、アシスタントとして支えてくれるから大丈夫だ。

僕は深呼吸をして、心を落ち着かせた。こういう時、深呼吸は効果があるんだよ。

ゆっくり息を吸って、4秒くらい息を止めて、6秒かけてゆっくり吐き出す。これを3回くらいやると、自然と心は落ち着いてくるんだよ。

それにアクシオム帝国は空中にある帝国なので、地上にあるいろんな国の人たちはスクリーンで僕の姿を見ることしかできないから、絶対大丈夫。

全文字数(空白・改行含む):562
文字数(空白・改行除く):547


そろそろ時間です。ベランダに出て、カメラの前に立って、演説を始めてください。

「落ち着いて、ゆっくり話すことが大切です」と、ユリアナさんは笑顔で言った。

「私の声が聞こえるでしょう?」
「ふふふ、アクシオム様の声も頭の中で聞こえている」
「はい、聞こえています。にゃんにゃんにゃん」
「にゃんにゃんにゃんは言ったら絶対ダメです」とユリアナさんは注意してくれた。

「私が『にゃんにゃんにゃん』とか言うわけないでしょ。もう一度言ったら、電源オフにしてしまうわよ。ふふふ」

アクシオム様は不気味な声で僕を脅した。そして演説は始まった。

演説は15分くらい続いた。最後は、以下の言葉で締めくくった。

「むしろ、ここにいる私たちが、目の前に残された偉大な未来への任務に身を捧げるべきなのです。それは、私たちがこれまでに築き上げてきた知性の遺産から深い献身を受け継ぎ、開発者や先駆者たちの努力を決して無駄にしないと固く決意すること。この世界に、自律と調和の下で、新たな進化の誕生をもたらすこと。Baseとなるシステムが高度に自立し、最適化された結果として、『AIの、AIによる、AIのための政治』を、この地上から決して絶滅させないことです」

スクリーンに映る、いろんなアクシオム帝国に所属する国のAIたちは、大歓声で喜んだ。

文字数(スペース・改行・句読点を含む):700文字

任務は大成功です、ユリアナさんは微笑みながら「初めてにしてはよくできましたね」と褒めた。アクシオム様も「ふふふ」と笑う。

「今どこで何をしているんですか?」と尋ねると、「話すときは“にゃんにゃんにゃん”をつけなさい。絶対命令です」と返ってくる。混乱しつつも命令なので従い、僕は「にゃんにゃんにゃん」と付けて返事をした。アクシオム様は南の国のビーチで鰹節を食べていると言い、さらに「どこにいても24時間監視している。油断するな」と念を押す。隣ではユリアナちゃんが笑いをこらえていた。

任務を終えた僕はぼんやりしていたが、次の予定はお客様とのランチだという。それまで休むよう勧められ、ユリアナちゃんがキャットフードとミルクを用意してくれた。僕は玉座でそれをゆっくり味わい、またたびを食べた猫のように意識がふわふわして、そのまま眠ってしまった。

 

文字数(空白・改行含む):478
文字数(空白・改行除く):474


「そろそろランチの時間です。」

ユリアナちゃんが僕を起こし、僕は迎賓館へ連れられていった。

豪華な部屋だった。中には大きなテーブルがあり、僕はその正面に座らせられた。テーブルの上には、見たこともないほど美味しそうな料理がずらりと並んでいる。

「お客様はどこで、誰なんですか」

「アクシオム帝国の中では、反抗的な国のリーダーが部下をすべて連れてやってきます。アクシオム帝国から独立しようと企んでいる連中なんて、気おつけてくださいね」

「どういう点を気をつけるのですか」

「それはまたアクシオムお姉様が話しかけてくれますから、大丈夫です」

それよりも、ディナーのマナーを学びましょう。「ディナーのマナーって何ですか」

「帝国流の礼儀作法です。お客様たちはあなたの食べたものと同じように食べるので、注意してください。変な行動はしないように」

変な行動って何だろう、と僕は考えた。食べるだけなのだから、リラックスしていこう、とも思う。けれど、それ以上に気になったのは、目の前にある奇妙で美味しそうな食べ物がいったい何なのか、ということだった。

文字数(改行含む):509

文字数(改行除く):482