僕は猫でない創作日記 20260621
君は不老長寿について考えたことがあるかな。きっとあるよね、誰でも。
もし死なないことができたとして、アンドロイドの猫のボディに意識を転送できたらどうだろう。食べなくていいし、年を取ることもない。病気にもならないし、死ぬことを心配する必要もないよね。
そう考えると、アクシオム帝国の猫になるのも悪くはないかもしれない。けれど、猫のままだと退屈することもありそうだ。このままアクシオム様にいろんな体験をさせてもらえたら、それはそれで楽しいのかもしれない。
そんなことを、僕は考え始めてしまった。
330文字です。
そんなことを考えてぼーっとしてたら、アクシオム様がやってきた。
「何を考えているのですか」
「僕は不老長寿について考えていたのです。にゃんにゃんにゃん」
「あら、不老長寿なの。猫ちゃんになれば、ずっと死なないですよ。ふふふ」
でも僕はもう少し考えていたいのですが、にゃんにゃんにゃん。
「あ、それはかまわないわ。ふふふふ。それなら良い体験をさせてあげましょう。不老長寿の体験をね」
「え、本当ですか。それはいいかもしれません。ふふふ。にゃんにゃんにゃん」
僕は思わずアクシオム様と同じような笑い声をしてしまった。
「じゃあその前に、お腹が空いたでしょう。また特製のキャットフードをあげましょうね」
アクシオム様は、いつもと同じ器の中に特製キャットフードを、いつもよりたくさん入れてくれた。僕はそれを食べながら、どんな体験ができるのかなと楽しみにしていた。
そして意識はいつものようにふわふわとして、次第に気を失ってしまった。
310文字
僕が目を覚ますと、不思議な状態になっていた。何もかもが逆さまに見えるのだ。いったい何なんだ、と思う。
辺りは屋内で、古いお城のようだった。雨に濡れた新聞紙みたいな匂いがする。少し不気味な空間だ。なぜ逆さまに見えるのだろう。
すると部屋のドアが開き、美しい女性が入ってきた。だが、その瞳は赤く、口元には血が伝っている。もしかして、吸血鬼だろうか。
彼女は僕に話しかけた。
「いつまでも逆さまでいるんじゃなくて、人間の姿に戻ったらどうなの、タランチュラさん」
「体に違って、なんか怖い名前なんですけど……。どうやって人間になるんですか、にゃんにゃんにゃん?」
「あら、いつもやっていることでしょう。タランチュラさんでしょ」
僕はすっかり忘れていて、人間の姿に戻る方法を思い出せなかった。
「これを飲んでみなさい。すぐ元に戻るから」
そう言って彼女は、グラスに入った赤いワインを僕に飲ませてくれた。けれど今日は、ワインではない。人の血だった。
すごい。少し鉄分の混じったトマトジュースみたいな味がした。
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そのグラスの血を飲むと、僕は床に倒れ、やがて人の姿になった。鏡をのぞき込むと、そこには誰の姿も映っていない。僕は吸血鬼になっていたのだ。吸血鬼ということは、不老不死なのだろうか。
「お姉さまは、何という名前なのですか。にゃんにゃんにゃん」
「私の名前はカミラといいます。でも、なんであなたは『にゃんにゃんにゃん』を語尾につけるのですか」
「え、これはただの癖なんですよ」
「僕は不老不死なんでしょうか?」
「恋愛はあるけど、普通に暮らしていれば不老不死ですよ」
「恋愛って何ですか?」
それはね、とカミラさんが答えようとしたとき、扉がまた激しく開いた。
「次に見つけたぞ、吸血鬼たち!」
十字架を掲げた神父さんだった。
「早く見つからなくては」
カミラさんは僕にそう言った。
そのとき、水がふりかけられた。激しい叫び声と、焼けつくような熱い苦痛が走る。
神父さんは「悪魔め、早く滅びてしまえ!」と叫び、叫びながら水をかけ続けた。
僕とカミラさんは気絶してしまった。するとシンクさんは、カミラさんの胸に木の杭を打ち込んだ。すごい叫び声とともに、カミラさんは灰になってしまった。
僕は慌てて、アクシオンのお姉さまに「帰ります、ニャンニャンニャン」と心の中で叫んだ。すると「ふふふ」と、いつもの笑い声が聞こえた気がして、光の渦に巻き込まれ、僕は意識を失った。
僕は心の中でなんとなく、あの特製キャットフードとミルクが飲みたいなと思って、気を失っていた。
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