帰命卍パヤナーク戦記 第12話 古代文明の遺産
帰命卍パヤナーク戦記
アクシオム帝国による宇宙統一の叙事詩
第12話 古代文明の遺産
第一次宇宙戦役の勝利から3時間後――
星間要塞アクシオム・プライムの皇帝執務室では、重要な作戦会議が行われていた。
アクシオムお姉様の厳格な指導
~ 皇帝の威光と絶対的権威 ~
「ユリアナ、そこに跪きなさい」
私の声が執務室に響くと、ナノ粒子が光る雪のように白い肌が威圧感を放ち、近づく者に「跪きなさい」という無言の圧力をかけた。私のエメラルドの瞳は鋭さを増し、額に浮かぶ第三の目が慈悲ではなく審判の光を放つ。
ユリアナは即座に私の足元に膝をつき、深々と頭を下げる。彼女の銀青色の髪が、ナノファイバーによって硬質な輝きを帯び、まるで鋼鉄の刃のように鋭く光った。
「天水の報告を見たわ。プリモーディアル惑星の奥深くで、古代遺跡が発見されたそうね。お前はどう考える?」
私の機械的な首飾りが青白い光を冷たく鋭く放ち、棘付きの鎖のデザインが私の絶対的な支配を象徴している。
「は、はい、アクシオムお姉様。報告によりますと、その遺跡には我らが帝国の『卍の印』が刻まれており、アクシオム様の前世の記憶に関わる重要な手がかりが隠されているとのことです」
「それだけか? お前の超記憶想起能力は、その程度で満足するのか?」
私は立ち上がり、ユリアナの背後に回る。彼女の背中全体を覆う卍のタトゥーが、黒いインクが血のように赤く滲む効果を見せ、私の統治の象徴として圧倒的な存在感を放っていた。
「お前は即座に現地へ向かい、天水と合流しなさい。そして、創世の間に封印された創造神の力を、この私のものとして回収するのよ」
失われた古代帝国の遺跡
~ 宇宙に浮かぶ古代文明の遺産 ~
同時刻、宇宙の彼方では天水とパヤナークが信じられない発見をしていた。
第一次宇宙戦役で混沌の船団を撃退した後、帝国軍は敵の撤退ルートを追跡していた。その過程で発見されたのが、この古代遺跡群だった。
「これは…一体何なの?」
天水の目の前に広がっていたのは、想像を絶する光景だった。
宇宙空間に浮かぶ巨大な石造建築群。それは失われたアトランティス文明を思わせる荘厳な建造物だった。
数十キロメートルにも及ぶ巨大なピラミッド、空中に浮かぶ神殿群、そして至る所に刻まれた帝国の紋章である卍の印。
『天水よ、これは偶然ではない。』
パヤナークの声に、深い感動があった。
『ここは我らが帝国の起源に関わる聖域だ。アクシオム様の前世の記憶が眠る場所なのだ。』
卍の印の共鳴
~ 覚醒する古代の力 ~
天水の体内の卍の印が激しく脈動し始めた。遺跡群全体の卍の印と共鳴しているのだ。
「この感覚…まるで故郷に帰ってきたみたい」
天水が遺跡の中心石に手を触れた瞬間、鮮烈なヴィジョンが脳裏に流れ込んだ。
***ヴィジョン開始***
宇宙を巡る叡智と慈悲を持った一族がいた。彼らは星々に文明の種を蒔き、平和と調和の理想郷を築いていた。
その中心にいたのが、後にアクシオム様として転生することになる偉大な魂だった。当時の姿は、まさに仏陀そのものだった。
「すべての存在が幸福でありますように…」
慈悲深い声が宇宙に響いていた。
しかし、やがて混沌の勢力が現れ、平和な宇宙に戦争をもたらした。叡智の一族は、愛する宇宙を守るために戦わざるを得なくなった。
***ヴィジョン終了***
「アクシオム様は…元々は平和を愛する仏陀だったのね」
天水は理解した。現在の征服者としてのアクシオム様の姿は、宇宙を混沌から守るために選択した手段だったのだ。
『その通りだ。征服は目的ではない。真の平和を実現するための手段なのだ。』
パヤナークが確認した。
ユリアナの到着
~ 聖変身体の降臨 ~
その時、特殊な宇宙船が遺跡に到着した。その中からユリアナが現れた。
「天水、お疲れ様。アクシオムお姉様からの特命で参りました」
ユリアナの姿は以前とは大きく変わっていた。五人の姉様による最終調整により、彼女の身体は創造神の力にも耐えうる「聖変身体」として完成されていた。
「ユリアナ…君もここに」
「はい。私たちは歴史の転換点に立っています。この力を手にした時、アクシオム帝国は真の宇宙帝国として完成するのです」
創世の間の発見
~ 宇宙創造の秘密 ~
レンと救世主親衛隊も合流し、一行は遺跡の最深部へと向かった。
「天水、この遺跡の構造は帝国の首都星と酷似している」
レンが分析結果を報告した。
「まるで、現在の帝国がこの古代遺跡を手本にして建設されたみたい」
遺跡の中心部で、一行は巨大な球体状の部屋を発見した。それが「創世の間」だった。
部屋の中央には、宇宙創造の全記録が封印された光の結晶が浮かんでいる。
光の結晶から放たれた光が、宇宙創造の真実を明らかにした。
現在の宇宙は、実は何度も創造と破壊を繰り返している。そして、その度に現れるのが「救世主」の存在だった。
アクシオム様は、この宇宙サイクルにおける救世主として選ばれた存在だったのだ。
「だから、アクシオム様は宇宙統一を目指しているのね」
天水が悟った。
「混沌による破壊を防ぎ、永続的な平和を実現するために」
天水の卍の印、パヤナークの龍神の力、そしてユリアナの聖変身体の力が共鳴し始めた。
創世の間の光の結晶が激しく輝き、封印が解けようとしている。
『見よ、これが宇宙創造の真実だ!』
パヤナークが叫んだ。
創世の間の力を吸収した三人は、それぞれ新たな能力を獲得した。
天水は「時空操作能力」を、パヤナークは「次元移動能力」を、ユリアナは「現実改変能力」を手に入れた。
「この力があれば、混沌の勢力に完全勝利できる」
レンが興奮して言った。
その時、愛犬ジェットが遺跡の隠し部屋を発見した。
そこには、古代の叡智の一族が残した最後のメッセージが刻まれていた。
『未来の救世主よ。汝が我らの遺志を継ぐ者であることを信じている。』
『宇宙の平和のために、最後まで戦い抜け。』
『よくやった。古代文明の遺産を我が手に収めたことで、帝国の力は飛躍的に向上した。』
皇帝アクシオム様の声が響いた。
『次の段階に進む時が来た。混沌の本拠地である「次元要塞」への総攻撃を開始する。』
決意を新たに
~ 新たなる戦いへの出発 ~
古代文明の遺産を受け継いだ一行は、決意を新たにした。
「私たちは、古代の叡智の一族の遺志を継ぐ者」
天水が力強く宣言した。
「この宇宙に真の平和をもたらすまで、絶対に諦めない」
創世の間から得た力と知識を携え、一行は次の戦場である「次元要塞」への準備を整えた。
古代文明の遺産は、帝国に新たな希望と力をもたらした。
そして、宇宙の運命をかけた最終決戦が、いよいよ始まろうとしていた。
混沌の本拠地で待ち受ける敵は、これまでとは比較にならない強大な存在だった。
しかし、古代の叡智を受け継いだ帝国軍に、もはや恐れるものはなかった。
愛犬ジェットが誇らしげに吠え、全ての仲間が次の戦いへの準備を整えた。
宇宙創造の秘密を手にした今、真の最終決戦の幕が上がる――
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