帰命卍パヤナーク戦記 第9話 敵の本拠地発見

帰命卍パヤナーク戦記

第9話 敵の本拠地発見

アクシオム帝国暦2847年 午後6時45分


帝国宇宙艦隊が次元要塞ケイオスに向けて出発した直後、私の完全覚醒した卍の印が異常な反応を示した。それは単なる敵の探知ではなく、宇宙の構造そのものに刻まれた古代の記録を読み取っていた。

「天水、何が見えるの?」

レンが心配そうに私を見つめた。

「太古の神々の…真の起源が見える。彼らの母星が…」

天水による敵本拠地発見

天水の卍の印が宇宙の古代記録を読み取る

太古の神々の母星プリモーディアル

宇宙の辺境、通常の物理法則が通用しない領域に、巨大な惑星が浮かんでいた。その名は「プリモーディアル」—原初という意味を持つ、宇宙最古の天体だった。

太古の神々の母星プリモーディアル

混沌とした色彩で渦巻く原初の惑星プリモーディアル

惑星の表面は、混沌とした色彩で渦巻いている。時間と空間が歪み、過去と未来が同時に存在する、まさに混沌の世界だった。

『見たか、天水よ。あれが我らの真の敵の本拠地だ。』

パヤナークの声が心に響いた。

「あの惑星…生きているのですか?」

『その通りだ。プリモーディアルは単なる惑星ではない。意識を持つ生命体なのだ。』

皇帝アクシオムの緊急指示

その時、艦隊の通信システムに皇帝アクシオム様の姿が現れた。

『天水よ、汝が発見したのは宇宙最大の秘密だ。』

皇帝様の表情には、これまで見たことのない深刻さがあった。

『プリモーディアルは、宇宙が誕生する前から存在していた原初の意識体。全ての創造と破壊の源流だ。』

「それなら、なぜ敵なのですか?」

『長い年月の間に、プリモーディアルは腐敗した。創造よりも破壊を好むようになり、新たな秩序を拒絶するようになった。』

宇宙征服計画の真実

皇帝様は、ついに帝国の真の目的を明かした。

『我らの宇宙征服計画は、侵略のためではない。腐敗したプリモーディアルを浄化し、宇宙に真の平和をもたらすためだ。』

私は深い感銘を受けた。帝国は侵略者ではなく、宇宙の救済者だったのだ。

『しかし、プリモーディアル浄化は容易ではない。宇宙の根源的な力との戦いになる。』

古代の予言の発見

帝国科学評議会が重要な発見を報告した。

『天水よ、古代の記録に興味深い予言がある。』

巨大なホロスクリーンに映し出されたのは、古代文明の石板だった。

「額に聖印を持つ者が現れし時、原初の混沌は浄化され、新たな宇宙が誕生する」

「私のことですか?」

『その通りだ。汝こそが、予言に記された救世主だ。』

敵の真の戦力判明

しかし、プリモーディアル周辺の偵察により、敵の真の戦力が判明した。それは想像を遥かに超える規模だった。

混沌の皇帝と超古代遺跡

混沌の皇帝の真の姿と超古代遺跡

無数の混沌の使者、現実を歪める戦艦群、そして中心には混沌の皇帝の真の姿が見えた。

「あれが…混沌の皇帝の本体?」

それは、惑星ほどの大きさを持つ巨大な意識体だった。形を持たず、常に変化し続ける恐るべき存在。

『彼こそが、プリモーディアルの分身にして、宇宙破壊の権化だ。』

帝国植民地からの援軍要請

皇帝様は緊急決断を下した。

『全宇宙のアクシオム帝国植民地に緊急指令を発する。最大戦力での援軍を要請せよ。』

史上最大の帝国艦隊集結

全宇宙から集結した史上最大の帝国艦隊

通信士が各植民地との交信を開始した。その規模の大きさに、私は改めて帝国の巨大さを実感した。

『アンドロメダ植民地、応答します。第七艦隊、出撃準備完了。』

『ベガ星系植民地、第三軍団、転送準備完了。』

『シリウス方面軍、全戦力を投入いたします。』

銀河帝国の真の規模

次々と応答する植民地の数に、私は圧倒された。帝国は単一の銀河を支配するだけではなく、複数の銀河にまたがる超銀河帝国だったのだ。

「これが…アクシオム帝国の真の力?」

『その通りだ。我らは宇宙の三分の一を支配している。』

皇帝様の誇らしげな声に、私は深い感動を覚えた。

新たな謎の発見

しかし、プリモーディアルの詳細な観測により、新たな謎が発見された。

惑星の内部に、巨大な構造物が存在していた。それは明らかに人工物で、しかも帝国の技術に似ていた。

「あれは…帝国の建造物ですか?」

『いや、それ以前の文明のものだ。』

スフィンクスが現れて説明した。

『プリモーディアルには、宇宙創生期の超古代文明の遺跡が存在する。そこに、宇宙の根源的な秘密が隠されている。』

愛犬ジェットの新たな能力

その時、愛犬ジェットが特殊な反応を示した。小さな身体が光り始め、まるで何かを感知しているかのようだった。

「ジェット、どうしたの?」

ジェットが特定の方向を向いて吠えた。その方向には…

『驚くべきことだ。ジェットは原初の意志の波動を感知している。』

パヤナークが興奮していた。

『小さな身体に、宇宙最高級の感知能力が宿っている。』

最終作戦の立案

全ての情報を統合し、皇帝様が最終作戦を立案した。

『作戦名「プリモーディアル・リベレーション」。目的は敵の撃破ではなく、原初の意志の解放だ。』

作戦概要

  • 第一段階:プリモーディアル周辺の混沌軍撃破
  • 第二段階:惑星内部の超古代遺跡到達
  • 第三段階:原初の意志の解放と宇宙の浄化

全軍出撃準備完了

各植民地からの援軍が続々と到着していた。その光景は、まさに宇宙史上最大の軍事作戦だった。

総戦力

戦艦十万隻、兵員一千万名

『これが、アクシオム帝国の全力だ。』

私は自分の使命の重大さを改めて実感した。宇宙の運命が、私の力にかかっている。

「皆さん、私たちは必ず勝利します。宇宙の平和のために。」

私の言葉に、艦橋の全員が応えた。

『帝国万歳!皇帝陛下万歳!』

プリモーディアルへの進軍開始

『全軍に告ぐ。プリモーディアル攻略作戦を開始する。』

皇帝様の号令と共に、史上最大の艦隊が動き始めた。

宇宙の彼方に浮かぶ混沌の惑星に向けて、正義の軍勢が進軍していく。

愛犬ジェットが勇ましく吠えた。まるで「みんなで勝利を掴もう」と言っているかのように。

私たちの戦いは、もはや個人的な冒険ではない。宇宙の存続をかけた、究極の聖戦だった。

プリモーディアルの混沌とした表面が、徐々に大きくなってくる。

真の最終決戦が、いよいよ始まろうとしていた。

【続く】

 

帰命卍パヤナーク戦記

次回:第10話「帝国連合軍結成」

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