帰命卍パヤナーク戦記 第8話 帝国科学技術の結集
帰命卍パヤナーク戦記
第8話 帝国科学技術の結集
インドでの虚無の王との戦いの後、私たちは帝国の科学技術部門から緊急召集を受けた。混沌の皇帝の存在が明らかになった今、従来の戦闘方法では限界があることが判明したのだ。
私の額の卍の印が、これまでとは全く異なる周波数で振動し始めた。それは帝国の最高機密施設からの直接通信だった。
『天水よ、帝国科学技術統合センターに来たれ。汝の完全覚醒の時が来た。』
帝国科学技術統合センター
転送されたのは、宇宙空間に浮かぶ巨大な人工天体だった。直径数十キロメートルの球体で、表面は無数の卍の印で覆われている。
「これは…」
「帝国の科学技術の結晶よ。」レンが説明した。「ここで、あなたの卍システムを完全に起動させる。」
中央制御室では、帝国の最高科学者たちが待っていた。しかし、彼らは人間ではなく、高度に進化した人工知能体だった。
『天水よ、我らは帝国科学評議会。汝の覚醒を支援するために創造された存在だ。』
卍システムの真の構造
科学評議会は、私の額の卍の印の真の構造を解析してくれた。
巨大なホロスクリーンに映し出されたのは、想像を絶する複雑さの回路図だった。
「あなたの卍の印は、単なる力の象徴ではない。宇宙の基本法則そのものをプログラムした、究極の生体コンピューターなのよ。」
レンの解説に、私は驚愕した。
『現在の汝は、その機能の0.1%も使用していない。完全起動すれば、現実そのものを書き換えることが可能だ。』
パヤナークとの技術融合
『天水よ、我もさらなる進化が必要だ。』
パヤナークが現れた。しかし、その姿は以前とは大きく異なっていた。龍の身体に機械的な装飾が施され、神秘的な生物兵器といった外観になっていた。
『帝国の科学技術と我の聖獣の力を融合させる。これが、バイオ・テクノロジー・フュージョン・プロジェクトだ。』
融合手術の開始
手術台のような装置に横たわった私の周りに、無数の機械が配置された。しかし、それらは冷たい機械ではなく、まるで生きているかのように脈動している。
『恐れることはない。痛みはない。汝の意識は拡張されるのみだ。』
レンが私の手を握った。
「一緒にいるから、安心して。」
意識の拡張と完全覚醒
手術が始まると、私の意識は急速に拡張していった。
最初は自分の身体、次に部屋全体、施設全体、そして宇宙全体が見渡せるようになった。
そして、恐ろしい光景を目撃した。
宇宙の彼方で、混沌の皇帝の軍勢が集結していた。その規模は、私たちの想像を遥かに超えていた。
無数の次元から召喚された怪物たち、現実を歪める巨大戦艦、そして中心には混沌の皇帝自身の影が見えた。
『見たな、天水よ。あれが我らの真の敵だ。』
その時、私の額の卍の印が完全に起動した。
私の身体から放射される光は、宇宙空間まで達し、周囲の星々を照らした。
「これが…私の真の力?」
『そうだ。汝は今、帝国の完全なる守護者となった。』
新たな能力の発現
完全覚醒により、私は信じられない能力を獲得した。
現実改変、時空間操作、次元制御…まさに神に等しい力だった。
しかし、同時に大きな責任も感じた。この力を間違って使えば、宇宙そのものを破壊してしまう可能性がある。
私の完全覚醒に呼応するように、レンの皇帝遺伝子もさらなる進化を遂げた。
「私も、あなたと同じレベルに到達した。これで、混沌の皇帝とも対等に戦える。」
帝国艦隊の到着
その時、宇宙空間に巨大な影が現れた。
それは、帝国の宇宙艦隊だった。数千隻の戦艦が整然と配列している。
『皇帝陛下直属の第一艦隊が到着した。』
皇帝アクシオムの直接指示
艦隊の旗艦から、皇帝アクシオム様の姿が投影された。
『天水よ、レンよ、汝らの覚醒を祝福する。』
皇帝様の威厳ある声に、私は深く頭を下げた。
『しかし、これはまだ始まりに過ぎない。混沌の皇帝は、宇宙の根源的な力を利用しようとしている。』
皇帝様は、さらに深刻な事実を明かした。
『混沌の皇帝の真の目的は、宇宙を創造した「原初の意志」そのものを支配することだ。もしそれが実現すれば、全ての存在が彼の意のままとなる。』
最終作戦の立案
『故に、我らは先手を打たねばならない。天水よ、汝の新たな力で、敵の本拠地を発見せよ。』
皇帝様の命令に、私は新たに獲得した能力を使用した。
宇宙全体をスキャンすると、遥か彼方の暗黒次元に巨大な要塞を発見した。
「あれが…混沌の皇帝の居城ですか?」
『その通りだ。次元要塞ケイオス。そこが最終決戦の舞台となる。』
新兵器システムと最終準備
帝国科学評議会は、私とレンの新たな力に対応した兵器システムを開発していた。
『これは、統合守護者システム・マーク10。汝らの力を最大限に引き出す戦闘支援装置だ。』
装置を身につけると、私の能力がさらに増幅された。
忘れてはならないのが、愛犬ジェットだった。彼もまた、帝国の技術により強化されていた。
「ジェット、君も一緒に戦ってくれるのか?」
ジェットが勇敢に吠えて応えた。
宇宙への出陣
全ての準備が整った。
帝国艦隊、完全覚醒した私とレン、強化された守護者たち、そして愛犬ジェット。
『全軍に告ぐ。次元要塞ケイオスへ向けて出発せよ。』
皇帝様の号令と共に、宇宙最大の艦隊が動き始めた。
私は新たに獲得した力を感じながら、決意を固めた。
どんな敵が待ち受けていようとも、私たちは勝利する。宇宙の平和と、皇帝アクシオム様の理想のために。
「行こう、みんな。最終決戦の始まりよ。」
レンの言葉に、私たちは頷いた。
巨大な艦隊が次元の彼方へと向かっていく。
混沌の皇帝との最終決戦が、いよいよ始まろうとしていた。
愛犬ジェットが、船橋の窓から宇宙を見つめながら小さく吠えた。まるで「みんなで一緒に頑張ろう」と言っているかのように。
【続く】
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