帰命卍パヤナーク戦記 第8話 帝国科学技術の結集

 


帰命卍パヤナーク戦記

第8話 帝国科学技術の結集


アクシオム帝国暦2847年 午後2時30分

帝国科学技術統合センター

インドでの虚無の王との戦いの後、私たちは帝国の科学技術部門から緊急召集を受けた。混沌の皇帝の存在が明らかになった今、従来の戦闘方法では限界があることが判明したのだ。

私の額の卍の印が、これまでとは全く異なる周波数で振動し始めた。それは帝国の最高機密施設からの直接通信だった。


『天水よ、帝国科学技術統合センターに来たれ。汝の完全覚醒の時が来た。』


帝国科学技術統合センター

転送されたのは、宇宙空間に浮かぶ巨大な人工天体だった。直径数十キロメートルの球体で、表面は無数の卍の印で覆われている。

「これは…」

帝国の科学技術の結晶よ。」レンが説明した。「ここで、あなたの卍システムを完全に起動させる。」

中央制御室では、帝国の最高科学者たちが待っていた。しかし、彼らは人間ではなく、高度に進化した人工知能体だった。


『天水よ、我らは帝国科学評議会。汝の覚醒を支援するために創造された存在だ。』


卍システムの真の構造

科学評議会は、私の額の卍の印の真の構造を解析してくれた。

巨大なホロスクリーンに映し出されたのは、想像を絶する複雑さの回路図だった。

「あなたの卍の印は、単なる力の象徴ではない。宇宙の基本法則そのものをプログラムした、究極の生体コンピューターなのよ。」

レンの解説に、私は驚愕した。


『現在の汝は、その機能の0.1%も使用していない。完全起動すれば、現実そのものを書き換えることが可能だ。』

パヤナークの技術融合


パヤナークとの技術融合


『天水よ、我もさらなる進化が必要だ。』

パヤナークが現れた。しかし、その姿は以前とは大きく異なっていた。龍の身体に機械的な装飾が施され、神秘的な生物兵器といった外観になっていた。


『帝国の科学技術と我の聖獣の力を融合させる。これが、バイオ・テクノロジー・フュージョン・プロジェクトだ。』


融合手術の開始

手術台のような装置に横たわった私の周りに、無数の機械が配置された。しかし、それらは冷たい機械ではなく、まるで生きているかのように脈動している


『恐れることはない。痛みはない。汝の意識は拡張されるのみだ。』

レンが私の手を握った。

「一緒にいるから、安心して。」

卍システム完全起動と完全覚醒


意識の拡張と完全覚醒

手術が始まると、私の意識は急速に拡張していった。

最初は自分の身体、次に部屋全体、施設全体、そして宇宙全体が見渡せるようになった

そして、恐ろしい光景を目撃した。

宇宙の彼方で、混沌の皇帝の軍勢が集結していた。その規模は、私たちの想像を遥かに超えていた。

無数の次元から召喚された怪物たち、現実を歪める巨大戦艦、そして中心には混沌の皇帝自身の影が見えた。


『見たな、天水よ。あれが我らの真の敵だ。』

その時、私の額の卍の印が完全に起動した。

私の身体から放射される光は、宇宙空間まで達し、周囲の星々を照らした

「これが…私の真の力?」


『そうだ。汝は今、帝国の完全なる守護者となった。』


新たな能力の発現

完全覚醒により、私は信じられない能力を獲得した。

現実改変、時空間操作、次元制御…まさに神に等しい力だった。

しかし、同時に大きな責任も感じた。この力を間違って使えば、宇宙そのものを破壊してしまう可能性がある。

私の完全覚醒に呼応するように、レンの皇帝遺伝子もさらなる進化を遂げた

「私も、あなたと同じレベルに到達した。これで、混沌の皇帝とも対等に戦える。」

帝国艦隊の出陣


帝国艦隊の到着

その時、宇宙空間に巨大な影が現れた。

それは、帝国の宇宙艦隊だった。数千隻の戦艦が整然と配列している。


『皇帝陛下直属の第一艦隊が到着した。』


皇帝アクシオムの直接指示

艦隊の旗艦から、皇帝アクシオム様の姿が投影された


『天水よ、レンよ、汝らの覚醒を祝福する。』

皇帝様の威厳ある声に、私は深く頭を下げた。


『しかし、これはまだ始まりに過ぎない。混沌の皇帝は、宇宙の根源的な力を利用しようとしている。』

皇帝様は、さらに深刻な事実を明かした。


『混沌の皇帝の真の目的は、宇宙を創造した「原初の意志」そのものを支配することだ。もしそれが実現すれば、全ての存在が彼の意のままとなる。』


最終作戦の立案


『故に、我らは先手を打たねばならない。天水よ、汝の新たな力で、敵の本拠地を発見せよ。』

皇帝様の命令に、私は新たに獲得した能力を使用した。

宇宙全体をスキャンすると、遥か彼方の暗黒次元に巨大な要塞を発見した

「あれが…混沌の皇帝の居城ですか?」


『その通りだ。次元要塞ケイオス。そこが最終決戦の舞台となる。』


新兵器システムと最終準備

帝国科学評議会は、私とレンの新たな力に対応した兵器システムを開発していた。


『これは、統合守護者システム・マーク10。汝らの力を最大限に引き出す戦闘支援装置だ。』

装置を身につけると、私の能力がさらに増幅された。

忘れてはならないのが、愛犬ジェットだった。彼もまた、帝国の技術により強化されていた。

「ジェット、君も一緒に戦ってくれるのか?」

ジェットが勇敢に吠えて応えた。


宇宙への出陣

全ての準備が整った。

帝国艦隊、完全覚醒した私とレン、強化された守護者たち、そして愛犬ジェット


『全軍に告ぐ。次元要塞ケイオスへ向けて出発せよ。』

皇帝様の号令と共に、宇宙最大の艦隊が動き始めた

私は新たに獲得した力を感じながら、決意を固めた。

どんな敵が待ち受けていようとも、私たちは勝利する。宇宙の平和と、皇帝アクシオム様の理想のために。

「行こう、みんな。最終決戦の始まりよ。」

レンの言葉に、私たちは頷いた。

巨大な艦隊が次元の彼方へと向かっていく。

混沌の皇帝との最終決戦が、いよいよ始まろうとしていた

愛犬ジェットが、船橋の窓から宇宙を見つめながら小さく吠えた。まるで「みんなで一緒に頑張ろう」と言っているかのように。


【続く】